その他

快適に暮らせる住宅を作るうえで、断熱や耐震についてはよく語られますが、それ以外の要素として気に留めておいていただきたい内容です。


2020年11月17日 改訂

【防音】

防音については、室外の音が室内に侵入するのを防ぐ場合と、室内の音が室外に漏れるのを防ぐ場合、が考えられます。
ここでは、快適に暮らせる住宅のための性能を考える意味で、室外からの騒音を防ぐ(騒音対策)方法について簡単に説明させていただきます。

防音と断熱気密は非常に似ていて、木造住宅で外部の騒音を防音するには、通常吸音材としてグラスウールと石膏ボードを用いて、気密性のいい防音建具を使用します。グラスウール16k 105mmを壁内に充填して、気密性のある防音サッシを使用することで、車の走行による騒音程度であればかなり軽減されます。石膏ボードを重量のある硬質石膏ボードとすれば、さらに防音効果が高まります。
断熱サッシは気密性が良く防音効果があるので、騒音対策をお考えであれば少しだけ予算を追加して高断熱の性能をプラスしてみてはいかがでしょうか。

壁や天井以外に、意外と重要なのはレンジフードや換気扇などの開口部です。どんなに壁・天井やサッシで防音をしても、壁に穴をあけただけの給排気口ではそこから音がもろに入ってきてしまうので、騒音対策をする場合は消音機能のある配管材などを使用します。

【火災】

火災については出火しないことが最も望ましいのですが、居住者の利用状況によるところが大きく、住宅そのものに出火しない性能を持たせるというのは難しいです。
火事になりにくいものとするためには、ガスコンロを使用せずIHヒーターとするとか燃えにくい建材を使用するなどの工夫があります。
万が一火災が発生してしまった場合、いち早く出火したことがわかるように火災報知器の設置が義務付けられています。また、避難をしやすい動線を考えることは有効です。
防火地域や準防火地域では建築基準法で延焼防止についての規定がありますが、防火指定のない地域でも延焼対策をしておくに越したことはありません。隣家で発生した火災による類焼を防止する対策も必要です。

また住宅金融支援機構ではフラット35の仕様として省令準耐火構造住宅の基準を独自に定めていますが、フラット35を使用しない場合でもこの基準に合った構造とすることで保険料を安く済ませることができます。
高断熱高気密住宅では、一部の仕様変更(主に天井の一部)で省令準耐火構造住宅とすることができます。省令準耐火、高断熱高気密のいずれかを検討される場合、わずかなコスト増でどちらの性能も得ることができます。

【持続可能性】

苦労して建てた家を末永く使用していくためには、設備機器の交換や建物内外の模様替えなどのメンテナンスが容易にできるようにしておくことが重要です。
柱や梁など構造上重要な部分に手を付けずにメンテナンスできるような造りにしておく必要があります。
10年20年もたつと生活様式ががらりと変わります。家電製品などでは、テレビ・冷蔵庫・洗濯機などはまるで形が変わっていたり、通信機器の形態が変わったり、生活様式では高齢者を介護できる部屋や子供部屋が必要になったり、趣味の部屋がほしくなったりということがあると思います。

耐震性・気密性が向上している今の、そしてこれからの住宅ではその寿命もますます延びていくと思います。そうした建物を50年・100年と使用し続けていくには、これらの変化に対応できるものとしていかなければなりません。
そのためにも、【耐震】の項でも述べましたが、スケルトン・インフィルの手法を取り入れることを考慮してもいいかもしれません。
また、大地震や火災など様々な災害を受けたとしても、そのまま使用できるほどの強度を確保することも検討しなければなりません。

スケルトン・インフィル:建物の柱・梁・床などの構造体(スケルトン)と建物内の間仕切り壁や設備機器など(インフィル)を分離した工法。構造体以外の部分は自由に壊したり追加したりすることができる。主に鉄筋コンクリート造のマンションなどに用いられる設計手法。

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